「女どもの衆縁和合」
- Chitose Yashiro
- 2022年3月4日
- 読了時間: 1分
村のはずれの山越えを十三夜になさるなよ。あそこにゃ孕み女が出る。
孕み女?
孕んでるのは誰もが見るが、産んだところは見たことねぇ。
一度もかい?
いンや、おいらぁ一度孕み女の産んだ子を見たことがある。そいつぁとんだ鬼子でな、村を壊すわ挙句の果てにびいどろ細工の道祖神を割っちまうわ、しようがねってんで村の連中引き連れて間引いたんだよ。
しかし、村の連中は気づかなかった。村の女どもは皆、孕み女だったのだ。
孕んでるのは誰もが見るが、生まれた子供は見たことねぇ。
ついに一度も孕み女は腹に抱えた子を産み落とすことなく、村は滅んだ。
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「母さん、どうぞあたしをもう一度胎に還してください。あたしはもうやり切れぬのです。女になんぞ生まれとうなかった。女になんぞ生まれとうなかった。娘なんぞに生まれるんじゃなかった。」
彼岸を見下ろす姥捨て山の中腹に孕まれた硫黄泉、その湯に黄色く染まった老婆のされこうべが言った。
「女なんぞ生みとうなかった。人の母になんぞなるんじゃなかった。」

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