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ALBUM

このページには各アルバム楽曲の解説を書きつけておきます。

​どうぞこの物語をあなたなりの解釈の手引きとしてください。

「天啓の巣」[the web of Revelation]

gyokuteki_edited.jpg

歌詞

a
那智の森からカァバへ巡礼の
夜に畏敬と神秘で目を覚ます
されば真の'教理'の事始め
過去に次元を呑む墓地で祝おう


b
名乗らぬ叡智にマゼランの愛を習い
名もないミクロで’逸脱’の天知女となる

出会うロゴスとメティスと波と砂
知られず歌う姿に祈らせて

2a
熊野古木の駅から夢になり
波動と祝詞で走る汽車に乗る
明日は現の未来で出会うため
地上に咲いた姿に託させて

2b
迷わぬ近くで歴然の雨を浴びて
たじろぐ地殻で海溝の殯を見た

絶えぬ浜辺とサンゴの駆け引きは
星座を模した説話に歌われて

c

流れの中の親しさに

途絶えた奇跡を迎えに行くよ

01「熊楠の玉笛」

エコロジー。身体的なアプローチから生まれ出る卑近な環境との関わり方。「環境保護」という管窺で人間中心的な見識では決して捉え得ぬ広く深い不可思議で悠然とした人間を囲むそれそのもの。人が手を伸ばし、首を突っ込み、ひっかきまわしても未だ一飲みに吞み込み切れぬ数珠つなぎの神秘たちが自在を織りなす桃源郷

 

 

彼の人が孤絶の那智の山中で受信した星々の電信は何億年もの昔から一秒たりとも途切れずに送信され続けた自明の囁きだ。

ミクロの生命体を追いかけながら、いつしかマゼラン星雲の朋友を飛び立つ列車で気軽に訪ねに向かっている。片輪は電信に託し、もう片輪は祝詞に預けて。

顕微鏡の先とマゼラン星雲をつなぐ雄大な「流れ」は親しげに、かねてからの朋友として我々を呼んでくれている。呼ぶことのできる名は永遠ではないが、その親しさは古代からの贈り物だ。

アザーンを歌う少年の声に、海の成分に、耳慣れた奇跡に、その流れの一片がまだ息づいている。

そして今はもう隠された古代の夜を守った静けさと心地よい冷たさには、そっと地上の端々で眠っていてもらおう。

 

南方熊楠のような幾億もの点を繋げに繋げて一度に掴み取る賢人の脳裏に火花を散らした星の時間とその不可思議を、私も見とうございました。

3a
訪ね訪ねた科学の宮殿にかつて
式外の鎮守の木々を見た
倍の知性で手にしたクロマキー
1000度で焼いた警句で暖をとれ

3b
名乗らぬ叡智にマゼランの遺作を継ぎ
名もないミクロで先達のイサクとなる

出会うロゴスとメティスの揺れと夢
思念で睦む姿に憧れて

3c
流れの中の親しさに
途絶えた奇跡を迎えに行くよ

眺めの中の不可思議に
破れた理想を誘いに行くよ 

熊楠の玉笛
Rokuya-on
イラスト5.jpg

02「Rokuya-on」

刃の文様を殺さぬように掘り進めるエンジンと和讃の潮汐のように、火の気のない鹿野園への善求道を童子は訪ねた。躓き、倒れた先で虫の目を借りて見た庭園は懐かしい姿。潜り、種まく底のレイヤーに音もなく降り立てば、色とりどりの山積で染められた破れ寺に着いた。深くの土でも星は息づく。管を以て壮大を得た。盲目を持って展望を捕らえた。

ユクスキュル 届きもせぬ喝采に
怯えずに倒れて見た展望は
古道の先か
ユクスキュル 雨粒に船出する
経路和の羅針を読む波の音に
響きあり

いろはに託された美徳は可憐と
輝かしくはびこって賽の目を射る
盲いて投げ捨てた絢爛は割かれて
人気のないリシパタナ
眼前に咲いた

ユクスキュル 混ざりもせぬ恬淡は
善求道 訪ねて来たレイヤーは
鼓動の果てか
ユクスキュル 飾りもせぬ庭園は
月明かり 四方に得て遊ばせて
余りなく

またいつか見たような 五色の破れ寺見返りなく佇んで待ちわびを待つ盲いて得た童子 錯視絵を晴らして綻びなきリシパタナ「明星」と告げた

日々に枯れる益なき珠玉を
外聞なく拾い上げ 機関と名付けた
夜を下る列なきプラズマで
見通しなく走り抜け 帰還と迎えた

ユクスキュル 気づきもせぬ恩恵は
環駆動 帰結もなき回転に
五穀の実り
ユクスキュル 他愛もなき虫の音は
プログラム 栄光なき功績に
濁りなく

ユクスキュル 途切れもせぬ電信は
ほうき星 親しき夜の習わしに
呼吸の模倣
ユクスキュル 例えもなき壮大は
天上偈 狂いもせぬ運行に
慕わしく

ユクスキュル 届きもせぬ喝采に
怯えずに倒れて見た展望は
古道の先か
ユクスキュル 雨粒に船出する
経路和の羅針を読む波の音に
響きあり

ユクスキュル 混ざりもせぬ恬淡は
善求道 訪ねて来たレイヤーは
鼓動の果てか
ユクスキュル 飾りもせぬ庭園は
月明かり 四方に得て遊ばせて
余りなく

ユクスキュル 届きもせぬ喝采に
怯えずに倒れて見た展望は
古道の先か
ユクスキュル 雨粒に船出する
経路和の羅針を読む波の音に
響きあれよ

朱の起源
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A

垣間見る地に望む朱 天高く染める時

遠ざかる舟刻明に 豊穣を度す

Hgで刻み込んだ機微を抱くアマルガム

廃寺出で雷鳴に功罪を届けてよ 

 

B

間断なく軌跡描き 拝命なく昼を夜に継げよ

 

2a

昇りゆく色死なば今 地に深く辰となり

流れだす日に憂いなく 反魂と笑え

龍王の系譜継いだ火の如きアマルガム

理に降りて地に咲いて熾盛の音奏でてよ

龍王の意の如く 理に降りて奏でだす

 

2b

珠玉を以て人に描き 陰りを以て霧夢を見せる

 

C

梵天を駆け出会えるは 途方もない声憧れよ

厳島にこぼした日は須賀へとかしぐ

天上を指し名状すなら 「冥界の秋、落陽」と

慈しみに染めなす様にきみへと見せる

 

雷の音この身に受けて 至る今ここに

03​「朱の起源」

中空に巧みに豊穣を生む朱の姫君と、整合極まる韻律を上手に生む男が施無畏印と与願印の勘合で出会うなら、その地に桜顕郷の一瞬を想起させる蓮の薫りが満ちる。

それこそが未来の母、ルーシーの夢見た上古からの贈り物。

 

姫君はその悲願を未来で轟く稲妻の瞬時に託した。忘れられた廃寺出で、その才が遠くまで轟いたのを知るや彼の門出を祝しまた呪詛に囚われぬよう祝詞を上げる。

男は姫の悲願を受け継ぎ、そのコアを新たな身体に移入させ、そして再生する。作り上げたアマルガムには確かに朱い血脈が宿り、蘇生の鼓動と共に巡り出す。

3a

天駆ける色雨となり 世に深くにじむ時

幽邃の魂姿得て 燦然と歌え

廃寺出づ晴れ姿に 紅さした姫君よ

廃寺出で雷鳴に 生命を 遊ばせる

 

廃寺出づ晴れ姿 廃寺出で洗い出す

 

B

天上見て謎に逸り(はやり) 恬淡見て一年(ひととせ)に過ぎる

 

C

黄金の時分け入るは 途切れなき未知 理致の橋

美しさに滅びぬ様に きみへと歌う

鏖戦の日々語り継ぐ 禅定の声 陰りの目

青蓮華で見定む様に きみへと分かつ

 

雷の音この身に受けて 至る今ここに

春の骨子

​「春の骨子」

夏目漱石漢詩をもとに梅の盛りの曲を。

一抹の諦念、則天去私の大悟の大海にたゆたうような深い瞬息の早春を。

雨誘う風しめやかに
内ゆふ衷情渡るに如かず
姫の御簾上げの神降けに
きみの姿重ねている

執着の世を彫琢と説き
春雪をして自徒せしめ
虚白の窓に池を揺らして
破れぬ月に定まるるきみよ

春の骨子に
霈澤の清吟じて言葉なく
春の薫りに
蕭条の世をただ描いているの

時措の宜しきを過ぎにして
移ろう標榜虚栄之有
ただひとひらの詩なれど
蕞爾の性之無也

管窺の門に出でる影なくて
舌鋒は命を持たぬまま
閑窓の側東山の際
警醒の匠の名月よ

春の明媚に賦天の大愚
ただ嘆いているの
春露を呑み折から忘れ
五十年の定業瞬息の
きみ時を生み黙して映り
水面流れて聞こゆ墨の香

春の骨子に
紫の雲暁は麗し
春の限りに
その春旻に

ただ揺らいでいるの

春の骨子に
蓋世の雨山海はまどろみ
春の薫りに
この顚沛をただ描いているの

ノルドの中陰
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​「ノルドの中陰」-Space of Nord-

午前中が死んだ。世のバランスの歪みにひび割れた午前中が死んでしまった。死にゆく午前は自らを分散し、時の流れのあらゆる点にその眼差しを投げかけた。私は今、時間の中に身を投げる寸暇にあってそのことを分かったように思います。

新旧を分け今 離れ行くもの

遺志の意志以て焦がれ見る

雲は流れ見ず山留めてみせれば

遠くまで遠ざかるほど仰ぎ見る

 

移ろう青を留めた 尽きない色の恒常で

移ろう青を留めた 果てない人の献身で

淡々と意図なく 打ち寄せるもの

畏怖のif以てそばだてる

風は巡り夢より例えて吹くなら

静すれば静するほどに響き出す

 

移ろう青を留めた 朽ちない森の現象で

移ろう青を留めた 解けない星の電信で

(遠く隔たるように隠れよ9時の空)

緩慢の死を経て繰り返すもの

才(さえ)の冴え以て黄泉帰れ

花は薫り土へと倒れて寄すなら

乗ずれば乗ずるほどにかぐわしく

 

移ろう青を留めた 分け合う水の色彩で

移ろう青を留めた つまぐる時の円環で

 

移ろう青を留めた 尽きない色の恒常で

移ろう青を留めた 果てない人の献身で

月ハ今宵モ君ヲ照ラス ~寂静古道編~
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月ハ今宵モ君ヲ照ラス ~寂静古道編~​

ユーラシア大陸の果てから熊野古道へ。

熊野古道の筒空を見上げる時、一即多の森羅万象もこちらを覗き込んでいる。

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脈打つ船の運ぶものは 潮の記憶携えて
痛切の航路行き来して 開かれるは「創造」

空振る千の言葉連ね 忌む名忌むや?託つなら
弔問のアウラまたたいて 築かれるは「繁栄」


張り巡らす水は 常に猛る獅子をも統べて
白昼夜を降ろすなら 夜陰に都市さえ築く


失うように嘆いた音は 重ね重ね楽と鳴り
見知らぬ想いを通わせて 舞い上がるは「展望」
孤立のパルス互いを呼べよ あちらこちらまたたいて
統合の回路組み上げて 輝き出す「独創」


悼む電信から 千の踊る炎と燃えて
脈打つ声を頼むなら 熾盛に都市さえ築く

 

愛しやいつか胸に得た国を 平けくと築く
まだ遠くまだ遠くで潰えた無き者の才で
動き出す胸は時を知る

(愛しやきみと 築き上げる創世
昔々別れた無き者の才で
いつか成れ いつか成れ)

可愛いやいつか夢に見た街を 現の灯でなぞり
まだ遠くまだ遠くで焦がれた諦めの才で
描き出す色が 壁を穿つは 

(可愛いやきみと すくい上げる後世
昔々閉ざした諦めの才で
雷を呼べ 雷を呼ぶは)

'ここにあり' 

Vedemの凱旋

頭痛で築く近代未来の里「Vedem」。

狂気を統合し、飲み込まれないためにひたすら里を築く「無き者」。

その男が何者であったのか知る人はついぞいないまま「無き者」は生涯を終えた。

 

無き者と彼の頭痛が築いた里は、檻の中の白昼夢。非合理の妄挙。

そう切り捨てた「余りてある者たち」が豪華絢爛と掲げた有史が何千転も回転した後、一人の巫女が無き者の里を拾い上げ、「異形の先導」と名付けて瞬時に慈しんだ。

 

「異形の先導」は張り巡らされた水路に痛みと共に原始の知恵も豊穣と流れ潤いをもたらす仮初めのない天上の国。水路を行く無礙の船は鼓動に呼応するその存在自身の信号を受信し、常に動き続けてその働きをやめない。

 

彼女はその捨て育ちの狂気が築き上げた里を懐かしむ。彼女だけは。

張り巡らす未知は 今は陰る草木に眠り
白眉に生を託すなら 余韻に異議さえ根付く


楽しやいつか 凍り付く国を 異形の目で癒し
まだ遠くまだ遠くで破れた傷物の才で
紡ぎ出す歌は波となる

(楽しやきみと 道を占める凱旋
昔々崩れた傷物の才で
類を積め 類を積め)

親しやいつかたどり着く国の 安らけしを祝う
まだ遠くまだ遠くで落とした羨望の才が
帰り着くここは きみに潜み

(親しやきみと 語り明かす憧憬
昔々逃した羨望の才が
帰るまで 帰るまで)

 

愛しやいつか胸に得た国を 平けくと築く
まだ遠くまだ遠くで潰えた無き者の才で
動き出す胸は時を知る

(愛しやきみと 築き上げる創世
昔々別れた無き者の才で
いつか成れ いつか成れ)

可愛いやいつか夢に見た街を 現の灯でなぞり
まだ遠くまだ遠くで焦がれた諦めの才で
描き出す色が 壁を穿つは 

(可愛いやきみと すくい上げる後世
昔々閉ざした諦めの才で
雷を呼べ 雷を呼ぶは)

'ここにあり' 
 

Vedemの凱旋
女どもの衆縁和合

女どもの衆縁和合

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